トップアスリートが感じる「違和感」という体の声

すべての体の声が生死にかかわる深刻なメッセージを伝えているわけではありません。肩凝りは「血流が滞った」という不健全な状態のサインですが、不健全の程度としてはささいなもので、放置してもすぐに生死にかかわるわけではありませんから。

でも、ささいな声のうちに手だてを打っておかないと、不健全さがだんだん大きくなって、やがて深刻な事態に発展する可能性があります。

プロランニングコーチで、女子マラソンの高橋尚子さんや有森裕子さんと同じ実業閉チームで指導をした経歴を持つ金智彦さんによると、オリンピックに出るようなレベルのトップアスリートたちは、ささいな体の声に対して、とても敏感だといいます。

スポーツニュースでときどき、選手が「腰に違和感を持って出場を断念した」などと報道されます。あの違和感というのは、故障に到る手前の不調段階で、体が発するメッセージです。そこで無理をせずに対策を打てるかどうかで、選手生命や、パフォーマンスのレベルが違ってくるのです。

そういわれれば、荻原健司さんが、体が固まるような不快感を敏感に感じていたのもうなずける話です。あれも一種の違和感なのでしょう。

ただ、私などにとっては、「違和感」といわれても今ひとつピンとこないし、正直「そんなことで試合を休むのか」と思ってしまうのも事実。そもそも違和感って、どんな感覚なのだろう? 取材の合間に、そんな素朴な疑問を金さんに投げ掛けてみたことがあります。金さんは笑いながら、こんな話をしてくれました。