最近なんだか塩味がおいしい

生きるために必要なことを体内のご先祖さまが教えてくれるメカニズムは、食べ物を選ぶときにも働いているようです。みなさんはときどき、塩辛いものや脂っこいもの、苦味が利いた野菜など、特定の味や食感の食べ物が妙に食べたくなることはないでしょうか?

こんなときも、その衝動を発生させているのは本能的なしくみだと考えられます。というのも、動物の行動の研究から、そういうメカニズムの存在が浮かび上がっているからです。

例えば、ラットの舌の味を感じる装置(味菅)は、体内の塩分濃度が下がると、塩分の感度がよくなるそうです。おそらく塩分が不足してきたラットは、「最近なんだか塩味がおいしいな」などと感じながら、塩気の多い食べ物を好んで食べているはずです。

ヘラジカは、角の生え変わり時期になると、落ちた角や土、動物の骨などをかじって、角の成育に必要なカルシウムとリン酸を補うといいます。またスウェーデンのユキウサギは、エサになる植物の毒性が強くなる季節に、土を頻繁に舐めるそうです。

これは体内の解毒作用で大量に消費されるナトリウムを補う必要があるからです。でも、ヘラジカやユキウサギが「あの栄養素が不足するから食べておかなきゃ」などと考えているとは思えないので、やはり必要な時期になると、その味やにおいが自然と恋しくなるのでしょう。