脚を温める方法として最もいいのは、運動をして筋肉をつけること

◇手足の冷えは動脈硬化から起こることもある

人間の体は、ほんとうによくできています。だれもが皆、意識することなく、必要に応じて呼吸し、内臓を動かし、血流を調整して生きているのです。

私たちの体は、実は、温度に対しても、絶妙なコントロールをしています。体温を一定に保つことが、生命活動にとってとても重要だからです。

最優先で温度を一定に保つのは、大事な心臓と脳です。そこの温度を上げるためなら、末端の手足の温度を犠牲にすることも、ままあります。手足の指先が冷えていても、ある程度は命に別状はありません。

そして、もっとすばらしいのは、私たちの体は寒いところに適応できることです。100年前は、薪や炭に火をつけて燃やす暖房だけ。建物にはサッシもなく、すきま風が入ってきました。軽くて温かいフリースのような防寒着もありません。

それでも人間は、北海道やシベリアなどの極寒の地で、たくましく生きてきました。

体は環境に適応しますが、逆にいたわりすぎると、すぐにその状態に甘んじてしまいます。ですから、少しだけ我慢することも、大事なことです。我慢することで、体は外界に適応できるのです。

手足の冷えは、心臓の病気や動脈硬化など血管の病気、貧血で起こる場合があります。さらに、太る原因の一つに内臓の冷えも挙げられます。手足の冷えを自覚したら、一度、医師にご相談ください。

◇気持ちよく脚を温めることは体にいい!

まず、どこを温めたらいいでしょうか。

俗に、頭寒足熱といいます。夏日漱石は『吾輩は猫である』で、「頭寒足熱は延命息災の徴(しるし)と傷寒諭(しょうかんろん)にも出ているとおり~」と書いています。傷寒諭は中国医学の古典ですが、昔から、脚を温めるのは健康の基本とされていたわけです。

確かに、寒いときに脚を温めるのは、とても気持ちよく感じます。例えば、寒い日に温泉地で足湯に入ると、極楽気分になれるでしょう。私たちは、体にいいことは気持ちいいと感じるようになつています。ですから、気持ちいいことはどんどんやっていいのです。

脚を温めるのはいいといっても、注意が必要です。それは、汗をだらだらかくことはしないことです。

汗をかくのは、温まりすぎと体が判断し、体温を下げようとしているからです。じゅうぶんに体が温まった証拠といえるでしょう。

脚を温めるものとしては、湯たんぽがお勧めです。

湯たんぽは、体がじゅうぶんに温まったら、無意識のうちにけ飛ばしてしまいます。それがいいのです。その点、電気毛布はお勧めできません。電気毛布を使っている人は、寝ている間に、たいてい大量の汗をかいています。つまり、余計に体が冷えてしまうのです。

病院に来る患者さんで、体にカイロを10枚も貼っている人がいます。そのくせ、汗をかいていて、寒いといったりするのです。カイロも必要最小限にしてください。たとえ一つでも、じゅうぶんに気持ちよく、温かいと感じられるはずです。

下着や靴下も、汗をかいたらすぐに着替えましょう。汗をかいたものを身につけていると、体が冷えてしまいます。

脚を温める方法として、最もいいのは、運動をして筋肉をつけることです。下半身には多くの筋肉がありますから、脚を使った散歩やスクワットなどをするといいでしょう。筋肉は熱を産生してくれますから、天然の発熱装置といえるのです。

また、血行もよくなるので、筋肉で発生した熱が体の隅々まで運ばれて、冷え症の解消に役立ちます。

でも、運動がいいからといって、いきなり走りだすのはやめてください。一念発起して、急に走りだす人は、たいていひざを故障して、長続きしません。

また、運動不足の人がいきなり走ると、大量の汗をかいてしまいます。運動も、じんわりと汗をかく程度のものでじゅうぶんです。

食べ物、飲み物も、できたら冷たいものを避け、温かいものを選びましょう。