タオルを軽く握る簡単な運動で血圧が下がる

◇アメリカの心臓学会で効果が認められている

一般的に、血圧を下げる方法としては、いろいろな手段があります。例えば、減塩をするだけでも、血圧は平均5mmHg下がるといわれています。さらに、ダイエットでは、4mmHg、アルコール制限では、3mmHg、有酸
素運動では、4mmHgとされています。

皆さんのなかには、「いろいろ試してみても、血圧ってなかなか下がらないものだな」とお考えになるかたもいらっしやるでしょう。

これに対して、ある運動を8週間にわたって行ったところ、血圧が平均10mmHg下がったといわれています。

その運動が、「ハンドグリップ」です。

これは、デジタルの握力計を使って、最大筋力の30%の力で手を握るという健康法です。これをある期間行うと、血圧が下がり、高血圧が改善するというのです。ハンドグリップで血圧が下がるこの効果は、アメリカの心臓学会でも認められています。

その研究を行ったのは、カナダのマクマスター大学のフィリップ・ミラー博士です。平均で4mmHgの血圧を下げる有酸素運動の場合、30~60分の運動を週に5日行う必要があります。

それに対して、ハンドグリップは、10分少々を週3回行うだけで、有酸素運動をしたときと比べて、倍以上の血圧を下げたといわれています。

ではなぜ、ハンドグリップを使う、いい換えれば、手を握るという運動が血圧を下げるのでしょうか。

手を握っている間は、筋肉が収縮します。このため、血流が少し低下します。次に、力を弱めた瞬間、どっと血液が流れ出します。このとき、血管の内皮細胞から一酸化窒素が放出されます。

一酸化窒素には、血管を広げ、やわらかくする働きがあります。つまり、手を握るという運動で、一酸化窒素の血管拡張作用が働き、血圧が低下すると考えられるのです。

◇7人中6人の血圧が下がった!

次に、なぜ、30%の力で握るのでしょうか。

それは、あまりにも強い力で握ると、血管が過剰に圧迫されてしまうからです。30%程度というのが、筋肉に適切な負荷をかける強さということになります。

ハンドグリップの研究は、2014年3月に放送された、NHKの『ためしてガッテン』という番組で紹介されました。残念ながら、カナダで用いられたデジタル握力計は、日本では販売されていません。

そこで、私は番組からの依頼を受けて、ハンドグリップに代わる方法を考案しました。それが、「タオル握り」です。

実際に、筋電図を用いて、どのような運動が最大筋力の30%になるか調べてみました。そこで、適度な運動と判断されたのが、タオルを軽く握る運動だったのです。

片手でタオルを握り、もう一方の手でタオルを抜こうとしたとき、タオルが抜けないくらいの力の入れ方が、30%の力になります。

しかも、タオルならば、どの家庭にもあり、どなたでも簡単にできます。家でテレビを見ながら行ってもよいのです。

握るタオルは、次のように作ります。一般的なタオルを二つに折り、もう1度折ります。こうして四つ折りにしたタオルを端からタルタルと巻いてください。

ポイントは、タオルを握ったときに親指と、ほかの指がつかないくらいの太さにすることです。これを先ほどの力かげんで振ります。

では、次に、タオル握りのやり方を説明しましょう。

① 右手で、タオルを軽く2分間握り、1分間休みます。

② 同様に、左手で2分間握り、1分間休みます。

③ ①~②を2回くり返します。

※1日に1回行ってください。月曜日、火曜日、水曜日と3日行ったら、木曜日は休みます。金曜日、土曜日と行ったら、日曜日は休みます。

なお、タオル握りは、心臓よりも手を高くして行わないようにしてください。

『ためしてガツテン』では、このタオル握りを使って、血圧の降下作用を調べる実験も行いました。血圧が気になっているかたに協力していただき、参加者の血圧を測り、タオル握りを4週間実行してもらったのです。

この結果、4週間後には、実験参加者7名のうち、6名の血圧が下がっていました。例えば、最大血圧が138mmHgだった人が、111mmHgになり、185mmHgだった人が152mmHgまで下がったのです。

ハンドグリップと同様に、タオルを握ることで、一酸化窒素が出て、その血管拡張作用によって、血圧が下がったと考えられます。

さらに、この実験では、血管のやわらかさも調べています。血管のやわらかさは、FMDという数値で出されます。FMDが6%以上なら正常で、血管がしなやかで、やわらかいことになります。

実験の参加者のうち、実験前、FMDが1・3%だった人が、タオル握りの実験後には、6・5%まで改善しました。参加者7人中、5人のFMDが改善していました。

ハンドグリップという器械の代わりに、タオル1枚を使った場合でも、4週間続けていくと、血圧が下がったり、血管がよりやわらかくなったりすることがわかったのです。

ちなみに、こうした運動療法には、共通するコツがあります。それは、「休憩が必要である」という点です。タオル握りのような軽い運動の場合も、必ず休憩日を入れるようにしましょう。休むことはとても大切で、休んだからこそ運動効果も上昇するのだとお考えください。