ぬるま湯洗髪に切り替えると髪と頭皮に明らかな改善効果が

◇試した患者きんは軒並みいい変化がある

クリニック宇津木流院長の宇津木龍一先生はこの7年問、34~35℃ぐらいの「ぬるま湯」だけで、髪を洗っています。

脱シャンプーのきっかけは、アレルギーでした。宇津木先生は40歳を過ぎたころから、整髪料や衣類の洗剤で肌がかぶれるようになったのです。

この経験から、肌に直接使うものに対して関心を持つようになりました。髪の場合、シャンプー、リンス、トリートメントです。調べてみると、これらには強力な界面活性剤や、ホルモンをかく乱する物質など、怪しげな化学物質が、たくさん含まれていることがわかりました。

シャンプーと頭皮の関係については、患者さんからも学んでいました。宇津木先生は患者さんの皮膚や頭皮を、毎回マイクロスコープで確認しています。興味深いことに、シャンプーをやめると、顔のキメが細かくなったり、頭皮の産毛が太くなったりなど、良好な変化が表れる患者さんが多かったのです。

シワ予防・改善の手術でも、同様の例が確認できました。この手術では、頭皮にもメスを入れることがあるのですが、傷の部分の毛が薄いまま、半年たっても回復しない患者さんがときどきいます。

こういう患者さんは、だいたいが「洗い過ぎ」の人で、シャンプーをやめると、髪が回復するのです。

これらの経験から、私は少しずつシャンプーの使用を控え、「ぬるま湯だけ」での洗出髪を試みるようになりました。この7年問は、シャンプーを一切使っていません。そのおかげでしょうか、細くてコシのない髪の1本1本が、太くしっかりとしてきたのです。触れると、コシや弾力も感じられます。

地肌が光って見えていた頭頂部は、髪の本数が増えて、肌が見えなくなりました。以髪のベタつきやにおいもありません。また、整髪料を使わなくても、髪が自然にまとまるようになりました。

このように、少なくとも宇津木先生と患者さんたちに関しては、脱シャンプーで、髪と頭皮に明らかな改善効果があったのです。

◇シャンプーによる皮脂の取り過ぎが薄毛を招く

これらの変化の最も大きな原因は、皮脂腺の状態が変わることにあると考えられます。

シャンプーには、強力な洗浄力を持つ界面活性剤が含まれています。そのため、シャンプーを使うと、頭皮の皮脂が落ち過ぎてしまいます。すると、不足した皮脂を補うため、皮脂腺が発達します。

つまり、シャンプーを使えば使うほど、皮脂腺が発達して皮脂の量が増え、頭皮がべ夕つくのです。また、髪を養うはずの栄養が、皮脂を作るために使われるので、髪は育たず、細くなります。

シャンプーをやめれば、皮脂腺は少しずつ縮小していきます。実際に宇津木先生も、シャンプー断ちをした当初は、髪と頭皮のベタつきがありましたが、3カ月ほどで改善し、今ではまったくベタつきません。

シャンプーの使用は、頭皮自体も薄くします。頭皮を含め、皮膚の表面は、天然保湿成分を含む死んだ角質細胞と、細胞同士を接着させる細胞問脂質が重なり合った強固なバリアで守られています。このバリア機能によって、皮膚は外部からの異物の侵入を防ぎ、皮膚内部の水分の蒸発を防いでいるのです。

シャンプーに含まれる界面活性剤は、このバリア機能を破壊します。これでは、シャンプーの有害成分が皮膚に浸透してしまうとともに、頭皮は乾燥し、干からびてしまいます。

この状態では細胞の新陳代謝が止まり、新しい細胞が生まれにくくなります。そのため、頭皮が薄くなるのです。

岩盤の上の、土の浅い畑では大根が実らないように、薄い頭皮では健康な髪は育ちません。シャンプーをやめて、ぬるま湯洗髪を続ければ、頭皮のバリア機能は回復し、頭皮も本来の厚さに戻ります。

また、シャンプーの使用は、頭皮を病原菌から守る常在菌を減らします。さらに重要なことは、シャンプーに含まれる化学物質は、長期的な使用での安全性が確認されているわけではありません。ぬるま湯だけでの洗髪は、この「体に害があるかもしれない」物質を避けられる、という点も魅力です。

宇津木先生もそうでしたが、シャンプー洗髪からぬるま湯洗髪に切り替えると、当初は、髪や頭皮のベタつきが気になります。しかし、我慢して続けていれば、皮脂腺は小さくなり、ベタつき感も、酸化した油のにおいも消えます。

宇津木先生の患者さんたちの場合は、2~3週間ほどでベタつきが減る実感があり、4~5カ月で感じなくなる例が多いようです。

かゆみも、当初は気になる人が多いようです。これもベタつき感と同じく、シャンプー洗髪で増えた皮脂の量が原因です。かゆみは、1カ月ほどで治まる人が多いようです。

かゆみや発赤(フケの増加)が長く続くようであれば、脂漏性皮膚炎などの皮膚病が考えられます。この場合、皮膚科で治療をしてから、少しずつぬるま湯洗髪に替えてみてください。