合成ステロイドの使い過ぎが症状を悪くする

◇合成ステロイドは治癒反応をおさえ込む

ステロイド療法には激動の歴史があります。1948年に関節リウマチの患者さんに投与すると、劇的に症状が改善。評判は瞬く間に世界に広まり、開発者は1950年のノーベル賞を受賞しました。

ところが、受賞直後より関節破壊の増悪や全身に及ぶ副作用の報告が続々と出てきて、医学はいきすぎた治療を反省。臨床応用を試みた受賞者の一人は自殺し、一時は合成ステロイドの使用は途絶えたのです。

しかし、ステロイド療法はその後再び勢いを盛り返します。現在は、「上手に使えば問題はない」という独特の言葉を使っては、患者さんを常用の世界に引き込み、新たな悲劇を生み出しているのです。

その悲劇の大本には、生命活動を支えるエネルギーの生産工場の一つである、ミトコンドリアの機能抑制が存在します。ミトコンドリアは、体温が高めのときに、最も効率よく働くのが特徴です。

確かに、合成ステロイドを使用すると、炎症はおさえられます。しかし同時に、合成ステロイドは体を冷やし、ミトコンドリアによるエネルギー代謝を抑制してしまうのです。

ちなみに、体が分泌するステロイドホルモンも、体を冷やして消炎します。しかし、それはエネルギー生成系をミトコンドリア系優位から、解糖系(体が冷えた状態で働くエネルギー生成系)優位に誘導する過程で、自然に発揮される作用です。

ミトコンドリア系が、必要なエネルギーをじゅうぶん作ると、細胞内にステロイドホルモンがふえて、体を冷やします。こうして過剰な熟を冷ます一方で、ミトコンドリア系の機能を止め、解糖系を活性化させるわけです。

一方、組織を修復したり、ストレスによるやつれから脱却したりする際には、体はわざわざ炎症を引き起こしています。その際には、体がミトコンドリア系のエネルギーを最大限に要求するため、体を冷やすステロイドホルモンの分泌が抑制され、代謝が極限まで克進しているのです。

しかし、ステロイド療法は、こうした生理的調節力をいっさい無視してくり広げられているから、破綻を生むわけです。

合成ステロイドは、体の治癒反応である炎症を、一方的におさえ込みます。すると再び、体は治癒反応として炎症を起こします。こうして、再燃をくり返すようになっていくのです。

そのため、現代医学もほとほと困り果て、ついには投与量を加減しながら合成ステロイドの補充を続け、再燃をおさえ込む流れに入ったわけです。

◇生命力が奪われ多巌器不全死に至る

そのダメージを一手に引き受けているのが、冷えの拡大とともに機能を失っていくミトコンドリアです。そして、ミトコンドリアの機能抑制が続ぐことによって奪われていくのが、生きる力、すなわち生命力なのです。

事実、体がステロイドの継続投与に耐えられる期問には限界があり、目安は約20年。20年を超えると、ミトコンドリアのダメージが決定的となり、やがて生命を維持する力さえ確保できなくなります。そして、最終的に多臓器不全でこの世を去る、という経過をたどるのです。

もちろん、そこに至る過程では徐々に体の冷えが強くなり、体調も悪化します。しかし、合成ステロイドありきで育った医師は、患者さんをなだめすかして処方をくり返すのです。

例えば、皮膚科医や呼吸器内科医は、「外用薬・吸入薬は局所に働く薬だから、内服薬のような害はない」といって合成ステロイドを使用します。

しかし、内服薬だけを特別扱いする根拠はどこにもありません。合成ステロイドはすべて、体の中に吸収されて薬効を発揮します。吸収能力そのものは皮膚も呼吸上皮も、そして消化管上皮の粘膜も同じです。吸収された合成ステロイドはいずれも血流に取り込まれ、全身を循環することになるのです。

また、最近の皮膚科学会は、合成ステロイドの外用薬をたっぷり塗るよう啓蒙しています。「ステロイド外用薬の基剤は保湿剤だから、たっぷり塗るのがコツ」と説明しているわけですが、これも言葉のまやかしです。

たっぷり塗って効くのは、合成ステロイドが速く大量に吸収されるため。つまり、たっぷり塗れば、見かけ上はまずまずの状態を保てる一方で、水面下での破綻は速まるのです。

合成ステロイドからの離脱に成功したアトピーの患者さんには、ゴワゴワした赤ら顔の人や、ちょっと夜更かししたり、つらい日に遭ったりしただけで体調をくずす人が多くいます。それも、皮膚の再生や、ストレスに対抗する底力を失ってしまったからです。

さらに、合成ステロイドの副作用の一つに掲げられる「うつ」も、生きる力を奪われることの弊害です。「自分はダメ人問だ」「生きていく価値もない」……次々にわき出てくるマイナス感情は、すべて合成ステロイドによるミトコンドリアの機能抑制の感情です。

単に病気が治らないから、自信や希望を失っているのではないのです。

このように、ミトコンドリア機能の抑制に始まるステロイド療法の弊害は、使用期問が長引くほど深刻化します。そして、離脱が遅れるほど完全な回復も難しくなります。

そこで、破綻が決定的になる前に、離脱を目指してほしいのです。しかし、ステロイド離脱にはリバウンドという壁があり、失敗するのは当然です。失敗をくり返しながら、リバウンドも軽くなるので、あきらめずに挑戦を続けてください。