太ももの裏を伸ばす「くの字ストレッチ」で骨盤を正しい位置に整える

◇ひざが曲がるとネコ背になる

体は、正しく使っていれば、どこも痛くならないし、調子が悪くなることもありません。

たにぎわ整体院長の谷澤健ニ先生がそれに気付いたのは、かつて、林業の仕事に携わっていたときでした。チェーンソーを担いで山を切り開き、何百本もの木の苗を背負って山道を登り、植林をする重労働です。

このきつい仕事を、涼しい顔でサッサと手際よくやる職人が何人かいました。なかには、小柄で細い体格の人もいましたが、彼らは皆、疲労が少なく、ケガもしません。

不思議に思った谷澤先生は、職人たちの動きをよく観察するようになりました。

その後、整体を学ぶようになり、その遠いがわかってきました。彼らは誰もが太ももの裏側の筋肉が柔らかく、太もも裏を伸ばすことによって、ひざ裏を柔軟に使っていたのです。

ひざがいつも曲がっている状態だと、太ももの裏側の筋肉がうまく使えません。太ももの裏側の筋肉とは、大腿二頭筋、半腱様筋、羊膜様筋からなる筋肉群のことで、ハムストリングスとも呼ばれます。

ひざを曲げたり、股関節を伸ばしたりするときに使い、姿勢を維持したり、歩いたりする動きに関係する重要な筋肉です。

ひざが曲がり、太もも真の筋肉が硬くて伸びないと、骨盤は下に引っ張られ、後ろに傾きます。すると、お尻が下がって腰が前に出て、背中が前屈みになります。これがネコ背です。

ネコ背になると、肩甲骨(背中の上部左右にある一対の骨)が広がって、肩が前に出ます。すると、胸郭は押しっぶされ、肺は空気を取り込みにくくなり、呼吸が浅くなります。

呼吸が浅くなると、血液やリンパ(体内の老廃物や毒素、余分な水分を運び出す体液)の流れが滞り、免疫力が低下していきます。ストレスにも弱くなり、うつ病など、心の病にもなりやすいのです。

そこで、谷澤先生が勧めているのが「くの字ストレッチ」です。これは、太ももの裏を伸ばすことによってひざ裏を柔軟にして、骨盤を正しい位置に整える体操です。

◇ギックリ腰の人がその場で歩いて帰れた

実は、くの字ストレッチは、谷澤先生が整体をするときに、いちばん疲れない姿勢を体操にしたものです。やり方は、上体を前に倒して、上下に動かすだけなので、誰でも簡単にできるし、場所も取りません。しかも行うのは、1日にたったの1分です。

注意点は、二つあります。一つは、体を前に倒したとき、できるだけお尻を後ろに突き出し、かかとに重心をかけること。これが最も、体が安定する姿勢で、どんなに押されても転びません。

二つ日は、骨盤から背中、首までを1枚の板のようにイメージして体を動かすこと。この姿勢によって、太もも真の筋肉を伸ばします。

この2点に注意して、体をリズミカルに動かしてください。1分間に100回を目標に、最初は20~30回から始めるといいでしょう。

筋肉は、使っていないと縮む一方で、伸びなくなってしまいます。この体操は、太ももの裏を伸ばすことによって、ひざ裏を柔軟にして、元の弾力のある状態に戻す体操です。

最初は、ひざ裏やふくらはぎが突っ張って痛いでしょうが、そのうち、太もも真の上のほうが突っ張ってきます。これが、「太ももの裏が伸びた」感覚です。

くの字ストレッチをすると、首、肩、腰、ひざの痛みはもちろんのこと、ネコ背が改善して姿勢がよくなります。片頭痛や耳鳴り、うつ症状が改善した人もいました。

また、おなかがへこむなど、やせる効果も期待できます。続けるうちにO脚が治った人もいました。太ももの内側と外側のバランスが整うので、足の形がきれいになるのです。

ギックリ腰で来た人が、この体操をした後、スタスタ歩いて帰ったこともあります。

くの字ストレッチができるようになったら、歩いたり、しゃがんだりするときの日常の動きでも、ひざ裏を柔軟に使ってください。そうすれば、腰やひざに負担がかからず、痛み知らずで軽快な体に必ずなります。